読書記録 for me

読んだ本のまとめなどを書いていきます。

「死ぬ瞬間」(E.キューブラー・ロス著)

おはようございます。

今日はスイスの精神科医であるE.キューブラー・ロス著の「死ぬ瞬間」という本についてです。

 

 死を間近にした人たちにインタビューを重ね、不治の病であることを理解し、死に至るまでどういった心理過程を歩むのかを明らかにしたのが本書です。その上で、死を間近にした人を支える医療職や家族がどのようにして寄り添うべきかについても語られています。僕も特別養護老人ホームで働く介護職であり、利用者様の死は避けて通れないところです。

まず大きな流れとして、死を受け入れるまでに以下のような段階を踏むということでした。

①否認と孤立(「そんなはずはない!」など)
②怒り(「なぜ自分なのか?」など)
③取り引き(「良いことをすれば、快方に向かうかも…」など)
抑鬱(死に対する絶望感など)
⑤受容

また、すべての過程において、一方で患者は「希望」を抱いていることも示されていました。絶望と希望の間を行ったり来たりするのが患者の心理というわけです。

このような中で、患者はどういった関わりを望むのかという話になります。マイナスの感情にまみれる患者にとって、まったく関わってもらえないことは論外ですが、では、関わりを持ってもらえればよいかというと、そうとも言えないようです。時間の長短よりもむしろ、「大切に扱われている」「理解されている」「気にかけてもらえている」といった感覚が大切で、そうすれば患者は怒って何かを要求することも減るし、自分が価値のある存在なのだということを知ることにつながります。

しかし、死が間近に迫ってくると、「患者は家族を含めた自分の世界から、徐々に自分を引き離していく」(p279より引用)ようです。最も身近な家族や配偶者からも距離を置くことが、死を受け入れるためには必要になってくるんですね。しかも、そのことを家族はなかなか理解できないため、患者と家族の間に意識のズレが生じてしまう可能性があり、難しいところです。この段階まで来れば、患者にいろいろなことを話しかけるよりも、静かに寄り添うくらいのスタンスの方がよいのかもしれません。

本書にはたくさんの患者とのインタビューが載せられています。当然のことながら、それぞれ違う人生を歩んできたことが語られていました。そして、死に対する考え、受け止め方も人それぞれでした。僕としては、介護の技術はもちろんですが、より良い死を迎えられるよう、その人が歩んできた人生に思いを馳せて、そこに寄り添っていくことが本当に大切だと思いました。

最後に、印象に残った一文を引用させていただきます。

「現代のように、不安、水爆、急速な発展、何もかもが「大量」の時代にあっては、小さな個人的な贈り物がふたたび意味を持ってくるかもしれない」(p427より引用)