読書記録 for me

読んだ本のまとめなどを書いていきます。

「セイバーメトリクスの落とし穴」(お股ニキ著)その2

こんにちは。

前回に引き続き、お股ニキさんの「セイバーメトリクスの落とし穴」について書きます。後半は監督の采配や球団経営について語られています。

 

セイバーメトリクスの落とし穴 (光文社新書)

セイバーメトリクスの落とし穴 (光文社新書)

 

 後半部分では、著者が現代の野球について感じているところの、より核心に触れているように思いました。つまり、最近の野球はビジネスに寄りすぎているのではないかという危惧です。

昔は「先発投手たるもの、完投しなければならない」といった精神論や、「ノーアウトでランナーが出たら送りバント」のようなセオリーに沿った野球が中心でした。そこから、投手の分業制などといった今の野球の形が現れ、さらに進んで、セイバーメトリクスのような客観性を重視した野球が多くみられるようになりました。本書を読んでいると、今は客観性重視の野球の方にかなり偏っている印象を著者は持っているのではないかと感じました。

メジャーリーグでは、野球経験のない人がどんどん球団運営に参入しているといいます。確かに、今の技術をもってすれば、仮に野球に関する知識が無くても、データの処理・分析ができさえすれば重要な役目を担うことはできるかもしれません。これに対して、僕たちがあれこれ言うことはないでしょう。しかし、いろいろな形で効率を追い求めた結果、例えばメジャーリーグでは極端なチーム運営が見られるようになったようです。ワールドシリーズ(日本で言うところの日本シリーズ)あるいはプレーオフ進出の望みをシーズン早々に捨てて、主力選手を放出し、有望な若手を獲得する方針に切り替えるチームが増えています。そうすれば予算は低く抑えられますし、数年後にはプレーオフに進出できるだけの戦力を整えられるかもしれません。アメリカらしいと言えばそれまでですが、毎年応援するファンがどう思うかも意識しておかなければならないのではないでしょうか。少なくとも、トレードの少ない日本ではあまり馴染みにくい考え方かもしれません。

お股ニキさんは、この風潮に対して「また揺り戻しが来るのではないか」と予測しています。日本でも見られるようになったショートスターターは、先発投手を短いイニングで降板させ、第2先発にマウンドを譲る作戦ですが、相手側がそれに合わせて打順を並び替える、つまり、主力打者をあえて後ろの方の打順に下げるといった作戦もこれから増えるかもしれません。それこそ、「セイバーメトリクスの落とし穴」を見つけ出し、そこにつけ入る手法です。何だかイタチごっこの様相ですが、要はさまざまな考え方や手法の最適なバランスを見つけ出す方向に向かうのがもう少し先の野球界なのかもしれません(著者は“トータル・ベースボール”という言葉を用いていました)。

この記事を自分で読んでみて、まとまりのない文章だなぁと反省しています。きっとまだ、自分の中で消化しきれていないのだと思います。

ひとつ言えるのは、本書は「これが正しい野球のあり方だ!」と叫ぶものではなく、野球を愛する人が野球のあるべき姿を自分で考えるための材料をたくさん提示してくれているものなのだということです。そのため、僕の中で今はまとまっていなくても、これまでの考え方に囚われず、日々野球に触れる中でそのあり方を考えていけるといいなぁと思っています。