読書記録 for me

読んだ本のまとめなどを書いていきます。

「人口減少と社会保障」(山崎史郎著)その4

おはようございます。

昨日に引き続き、今日も山崎史郎さんによる「人口減少と社会保障」についてまとめます。今日は第4章です。

 

 人口が減少することは避けられない情勢ですが、ただ手をこまねいていてはいけません。打てる手は打っていかなければ、次世代を担う人たちに大きな負担を強いることになります。第4章では、主に出生率を回復するための方策について書かれています。

未婚化・晩婚化と言われて久しいですが、若い人たちに結婚の意識がなくなったわけではありません。18歳から34歳の未婚男女を対象にした意識調査(国立社会保障・人口問題研究所による2015年の調査)では、9割近くの人が「いずれ結婚するつもり」としていました。しかし、実際には結婚に至らない人が多くなっています。その理由として大きいのが、経済的なところです。非正規雇用者の場合は、その傾向がさらに顕著になります。

結婚するにはお金を貯めなければならない。そして、ようやく結婚して子どもを産もうと考えたときには、出産適齢期を過ぎていたというのはよくある話だと思います。つまり、日本は出生率が高い諸外国と比べてどこが違うのかというと、出産年齢が全体的に遅く、30歳代前半にピークを迎えます。ちなみに、フランスやアメリカでは20歳代前半から出産する人が多く、20歳代後半がピークとなっています。日本ではもっと子どもを多く生みたいと思っていても、出産適齢期を過ぎてしまった結果、希望するよりも少ない子どもの数にとどまってしまうケースが多いんですね。

では、「共働きならどうか?」という話ですが、こちらも簡単な話ではありません。子どもを預けるにしても、特に都市部では保育所の数が足りず、待機児童の問題も依然として根深い状況です。育児休暇制度も、女性はともかく、男性にはまだまだハードルの高いものと言えるでしょう。

出生率を回復するためには、仕事と子育てが両立しやすい環境を整えなければなりません。しかし、これは非常に長い時間がかかるものです。前回の記事で、社会的に孤立している人に対する包括的な支援の話があったと思いますが、子育て世帯についても同様のことが言えます。ハード面の整備だけでなく、産前・産後・子育て中など、トータルにサポートできる体制が必要になります。そのため、政府は子育て世代包括支援センターの整備も進めているようです。

第4章の最後に、子育て支援施策を充実させるための財源について書かれています。一つはこれまでも何度か出てきた税方式による財源確保ですが、もう一つ、「こども保険」の創設に触れられています。介護保険制度が高齢者を社会全体で支える仕組みであるように、子育て世帯を社会全体で支える仕組みをつくろうというのが「こども保険」の考えです。また、同じ流れで、介護保険医療保険などが制度としてこれからも維持できるように、連帯して子育て支援のための基金を拠出するという構想もあるようです(権丈善一さんによる「子育て支援連帯基金」)。

第4章まで読んできて、社会保障をめぐって、本当にさまざまな問題が複雑に絡み合っていることがよくわかりました。新しい制度ができるたびに賛否両論が沸き起こりますが、全員が納得できる制度をつくることはもはや不可能だと感じました。制度によって救われる人が増える半面、どこかで痛みを感じる人が生まれるのは避けられません。制度改正(創設)の表面ばかりを見て批判するのは簡単ですが、もっと先を見据えて、一定の覚悟を持って国の動向を見守る態度も僕たちには求められるのではないでしょうか。