読書記録 for me

読んだ本のまとめなどを書いていきます。

「回復力」(畑村洋太郎著)

こんばんは。

今日も草野球の試合でしたが、試合は負け、僕自身もノーヒットでタイムリーエラーまでやらかしてしまい、散々でした…

気を取り直して(?)記事を書きます。

今日は東京大学名誉教授で工学博士の畑村洋太郎さんによる「回復力」という本について書きます。

 

回復力~失敗からの復活 (講談社現代新書)

回復力~失敗からの復活 (講談社現代新書)

 

 僕はこれまでまったく知らなかったのですが、畑村さんは「失敗学」なるものを提唱しています。失敗とどう向き合うか、失敗を防ぐにはどうしたらよいか、失敗したときにどう対応すればよいかなどを研究しておられるようです。

まず興味深かったのが、「逃げる」ことや「人のせいにする」ことを必ずしも否定してしないことでした。そもそも失敗しない人はいないわけで、失敗したときにどう向き合うのかが大切になります。しかし、今でも失敗の責任を取る形で自らの命を絶つ事例がマスコミで報道されています。まずは生き続けるのが最優先であり、そのためには逃げたり人のせいにするのも仕方がないと畑村さんは述べています。失敗したとき、人は自分が思っている以上にたくさんのエネルギーを失います。この状態で失敗と正面から向き合うにはエネルギーが足りないし、仮に失敗と向き合うことを選んだとしても良い対応は難しいのです。まずはエネルギーが回復するのを待ち、できることを淡々とこなしていくしかないようです。

とは言え、失敗から逃げたり、人のせいにするのはの一時的な避難策でしかありません。どこかで失敗と向き合わなければならないときは訪れます。そこで大切になるのが、失敗を評価することになります。自分と他者で評価の傾向に違いがあり、自分では起こした失敗を過小評価し、逆に周りの人はその失敗を過大評価しがちだとのことです。そのため、失敗を評価をするときの絶対的な基準として、「お天道様に向かって堂々と話せるかどうか」というものを畑村さんは挙げていました。自分も他者も偏った評価をしがちなのだとしたら、絶対的なものを評価軸にした方がよいということで、「お天道様」という存在が出てくるわけです。

また、失敗を記録するのも有効とのことでした。自分はどんな失敗をし、そのとき何を考え、どういう判断を下し、どんな行動をとったかをまとめておくのです。目に見える形で残しておくと、頭の中だけで失敗について考えるよりも客観的に捉えることができます。また、記録を残しておくことで、次に失敗したときにも活かせます。

本書の後半で、失敗して落ち込んでしまった人にどう関わればよいかにも触れられています。これは畑村さん自身の経験から、失敗した人に「頑張れ」と励ますのはタブーであること、ただ話を聴くだけで失敗した人は楽になることもあることなどが紹介されています。この辺りは精神科医の人が言うのと同じですよね。

一方、組織の枠で見ると、人事にも十分な配慮が必要とのことでした。組織としての責任を示すため、左遷人事もやむを得ない場合が実際にはあります。しかし、単に左遷人事をしただけでは、組織がその人に失敗の責任を押しつけただけになります。今はまだこの段階にある場合が多いようですが、できればその人事を一時的なものにするとか、責任は会社として負うことを本人に表明しておくなどといった配慮があるのが望ましいということでした。

できることなら失敗はしたくありません。でも、どれだけ準備していても起きる可能性があるのが失敗です。「人は弱い」という事実を認めて、正しい失敗との付き合い方を身につけるのは、特に変化の激しい現代では、誰にも必要なことではないでしょうか。本書は優しい語り口でそれを教えてくれます。