読書記録 for me

読んだ本のまとめなどを書いていきます。

「つながる図書館」(猪谷千春著)

こんばんは。

急に寒くなりましたね~。この前の土曜日に熱発してしまい、日曜日が休日出勤だったことも相まって、少し疲れ気味です(^^;)

今日は、猪谷(いがや)千春さんによる「つながる図書館」という本についてまとめます。 

 本好きの僕ではありますが、図書館で本を借りることはこの20年くらいしていません。しかし、もともと図書館という空間にはすごく興味があるし、現在、地域づくりをしていく仕事に携わっている中で、図書館には大きな可能性が秘められているのではないかと思っています。そこで読んだのが本書となります。

図書館の多くは公立のものですが、それまで目指してきたものは「利用者の増加」や「貸出冊数の増加」でした。それ自体は間違いではないのですが、時を重ねるごとに「無料貸本屋」という批判がなされるようになりました。そこから脱却し、「課題解決型図書館」を目指そうというのが最近の動向です。

そこで問題となるのが、指定管理者制度です。指定管理者制度は2003年に施行されたもので、「国や自治体が管理する施設の管理、運営を民間企業やNPO法人などに代行させることができるというもの」(本書p173より引用)です。本書で取り上げられている図書館のひとつに武雄市図書館(佐賀県)がありますが、こちらの図書館の運営・管理は、TSUTAYAなどを経営する会社が担っています。ちなみに、武雄市図書館にはスターバックスがあったり、本を買えたりもします。

そういった企業とタッグを組むことで、さまざまな機能や個性を持った図書館が各地にできつつある一方、図書館で働くスタッフの質の低下や、賃金をめぐる問題もあるようです。そもそも図書館というもの自体、美術館などに比べて、収益をあげにくい性質の施設です。その上で企業が介入するからには、多少なりともビジネスの要素が絡んでくるのは当然の話でしょう。

このような状況下で、これからの図書館が新たな役割、つまり、本書のサブタイトルにもある「コミュニティの核」となっていくにはどうすればよいか。本書にはいくつかの図書館の事例が提示されていますが、根底にある問いは、運営するのが行政だろうと外部組織だろうと、そこに住む市民が図書館に何を求めているかを汲み取る努力をし、それを反映できるかどうかなのだと思います。

例えばアマゾンのような巨大企業が図書館をつくるとなれば、施設としてはとんでもないものができると思います。話題性もあるでしょう。しかし、それがその土地の住民ニーズに合ったものでなければ、いずれは負の遺産となる運命になるのではないでしょうか(もっとも、アマゾンくらいの企業なら、その辺りのマーケティングやニーズ調査は徹底的にやるでしょうが…)?

本書の終盤で出てきますが、「大きければ良い」「たくさんの機能があれば良い」という単純な話ではなく、市内のどこに住んでいても歩いて行ける範囲で本を借りられるところがあるとか、蔵書数は多くなくても自然と人が集う場所になっているとか、そういった側面で話題になっている図書館もたくさんあります。図書館での自習の是非のようなスケールの小さな話ではなく、もっと大きな視野でわが町の図書館について考えてみたくなる、そんな本でした。