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「すべての疲労は脳が原因」(梶本修身著)

こんにちは。

今日は大阪市立大学大学院疲労医学講座特任教授である梶本修身さんの「すべての疲労は脳が原因」という本についてまとめます。

すべての疲労は脳が原因 1 (集英社新書)

すべての疲労は脳が原因 1 (集英社新書)

 

この本では、疲れが発生するメカニズムや疲労の原因物質について述べられており、疲れとうまくつきあっていくための方法にも触れられています。

運動に伴った疲れについては、乳酸が溜まることがその原因という話をよく耳にすると思います。しかし、ラットなどを用いた実験の結果、筋肉に乳酸を投与してもそれまでと変わらず動き続けたということです。つまり、乳酸が溜まった筋肉ではパフォーマンスが低下するけれども、乳酸が疲労の直接の原因物質ではないということがわかりました。

では、どこが疲労の原因となるかというと、脳の自律神経の中枢となります。人体にはホメオスタシスと呼ばれる重要な働きがあります。ホメオスタシスとは、激しい運動等をしたときに、体温を維持するため発汗させるなどの働きを無意識のうちに行うなどの身体に備わった性質です。呼吸の速度調整などは脳の自律神経で行われていますが、脳の自律神経が絶えず体内を調整し続けることで、それが疲れにつながります。

普段デスクワークをしていても疲れは当然出てくるのですが、このとき運動らしいことは特にしていませんよね。もし、乳酸が疲れの原因物質なのだとしたら、デスクワークでは身体はほとんど疲れないはずです。この場合は、パソコンのモニターをずっと見つめるなど、目を使うことで脳の自律神経が消耗し、疲労するということになります。

ここで気をつけなければならないのが、「疲労」と「疲労感」の違いです。疲れたときには通常「疲れた」と感じるものですが、達成感や意欲がそこに絡むと、「疲れた」という感覚をマスキングしてしまいます。脳の自律神経は消耗しているのに、やる気がみなぎっていたり、上司からほめられたりすると、感覚としては疲れを感じなくなるため、仕事を続けて頑張ってしまいます。それが結局、過労死につながってしまうわけです。

疲れたときには素直に「疲れた」ということで、休養するのが大切になります。そして、休養に最も効果的なのが睡眠ということになります。自然の流れに合わせて、まずは生活リズムを整えるのが大切たということが言えるでしょう。

疲労をためないようにするため、睡眠の他に気をつけるへきこととして、環境を整えることが挙げられていました。「ゆらぎ」のある生活が大切ということです。例えば、部屋の室温がちょうど良かったとしても、そのまま一切温度が変わらなければその環境に飽きてしまいます。逆に、快適な室温から常に少しだけ上下させていた方が「ゆらぎ」が生まれ、良いということになります。本当に人間の身体はよくできていますね~!

なお、疲れは主観的なものとして捉えられがちですが、研究が進んで、定量化できるものになりつつあるそうです。疲労見える化が進んで一般的なものになれば、過労死が防げるのではないかと著者の梶本さんは述べています。

働き方改革」と言いますが、雇用形態などの議論はもちろん、こういった疲労へのアプローチも欠かせないものなのだと強く思いました。