読書記録 for me

読んだ本のまとめなどを書いていきます。

「言葉にして伝える技術」(田崎真也著)

こんばんは。

今日はまた読書記録に戻ります。今回は、ソムリエ界の第一人者である田崎真也さんの「言葉にして伝える技術」という本をご紹介します。

言葉にして伝える技術――ソムリエの表現力(祥伝社新書214)

言葉にして伝える技術――ソムリエの表現力(祥伝社新書214)

 

物事に対して感想を述べたり、評価をしたりするときに、果たしてそれが本当に「感想」や「評価」になっているのか、言葉という側面から捉え、考察されているのが本書です。

田崎さんがソムリエであることから、その中心はワインをはじめとする飲み物や、食べ物の話となっていますが、こうやってブログで本の感想を述べたりするときにも大切な技術になると思います。

前半部分では、常套句的に使われている言葉が、本当に正しく伝えたいことを伝えられているかどうかを、多くの例を用いて語られています。

例えば、「手作り」という言葉について考えてみます。店頭に「手作りプリン」とか「自家製プリン」などとあると、単に「プリン」と書かれているよりも、プラスのイメージを抱く人が多いのではないでしょうか。しかし、どこの誰かわからない人が作るのに比べれば、実際には機械で作った方が均一した質のものがたくさん作れます。

同じようなこととして、「長い時間をかけた」という言葉も、鵜呑みにするのは危険と田崎さんは述べています。当然、熟成が必要なものなど、長い時間をかけておいしくなるものはあります。しかし、だからと言って「長い時間をかけたから、すなわちおいしい」という図式は必ずしも成立しません。

このように、日頃テレビに出てくるグルメレポーターが口にする感想は、意外と味そのものに対する感想になっていなかったり、常套句的な表現になっていることが多いのです。

では、どうすれば正しく言葉で伝えられるようになるかというと、五感をしっかり働かせて対象を捉えることによってそれが可能になります。五感のうち、多くの人は主に視覚と聴覚を頼りにして物事を捉えていますが、現代人は嗅覚が衰えていると田崎さんは警鐘を鳴らしていました。

ただし、五感を使って物事を捉えたとしても、それが言語化できなければ意味がありません。詳しくは本書に書いてありますが、田崎さんがワインの勉強をするとき、世界のソムリエと共通の言語で共有できるよう、一つひとつの香りを言語化し、カテゴリー分けして整理しました。その言語化も、ネガティブな表現は避け、ポジティブな表現をするようにしていました。

ものすごくたくさんある種類の中から、目の前にあるワインがどの品種のどの年代のものなのかを判別したり、目の前の客のニーズにピッタリと合ったワインを提案するためには、単にいろんな種類のワインについての知識があるだけではダメで、それを言語化して伝えられなくてはなりません。

このブログでは、本の感想を述べたりまとめを書いたりしていますが、本書を読むと「きちんとその本に向き合えていたのかなぁ…」と反省させられます…

もう一つ、普段は何気なく食事をしていますが、もっと嗅覚を使うことで、より食事が楽しめるようになるのではないかと考えさせられました。