読書記録 for me

読んだ本のまとめなどを書いていきます。

「セイバーメトリクスの落とし穴」(お股ニキ著)その1

こんにちは。

今日は夏休みをいただきました。と言っても、外出することはなく、いつものようにのんびり過ごしています。

今日はお股ニキさんによる「セイバーメトリクスの落とし穴」という本を取り上げます。

 

セイバーメトリクスの落とし穴 (光文社新書)

セイバーメトリクスの落とし穴 (光文社新書)

 

まず目を引くのが、 著者のお名前ですよね(笑)お股ニキさんはネットで人気を博している野球評論家とのことです。僕はTwitterをしていないので、普段どういった発言をされているのかも知らず、表紙や帯を見て購入した本です。ただ、メジャーリーガーのダルビッシュ投手もお股ニキさんの発言に注目するなど、素人ながらも鋭い視点の持ち主のようです。

今日は、主に投手、打者、捕手について書かれている前半部分です。中でも、投手の項目はかなり詳細に書かれていて、しかもその視点は感情論に流されず、客観性を重要視したものでした。なお、セイバーメトリクスは主観を排除し、データを基に効率よく得点を稼ぎ、失点を防ぐための戦略となります。

先に言っておくと、野球を知っている人が読んでも、人によってはクラクラしてきそうな記述です。というのも、投手が投げる球の回転数とか、変化の度合いから、打者が打ちづらい球を分析していくものだからです。数学的な知識がなくても大丈夫ですが、確実に読む人を選ぶと思います。

さて、今はツーシーム(やや内に食い込む真っすぐ)やカットボール(やや外に逃げる真っすぐ)など、日本でも微妙に動く球が全盛を迎えています。バットの芯をはずして長打を防ぎ、ゴロを打たせることが主な目的です。でも、本書を読んでいると、これまで僕たちが「真っすぐ」と呼んできたボールも「変化球」とされていました(細かい理由は忘れましたが、まっすぐに「見える」だけであり、実際には本来描く軌道からはズレるようです)。そういった分析、あるいは現在、メジャーリーグで言われている「フライボール革命」(ゴロよりもフライの方が得点につながりやすいため、ややアッパースイングで打とうとする打者の全体的な傾向)の状況下では、「スラッター」が最も有効な球であるということでした。スラッターとは、「スライダー(落差はあまりなく、外に鋭く曲がる変化球)とカットボールの間の球」です。変化球が抜けると、すなわちそれは失投として打者に捕えられてしまいますが、スラッターの場合はその特性から、抜けたスラッターですら打者には打ちづらいボールになるようです。そして、現在、メジャーリーグ等で大活躍している投手の多くはスラッター系の球種を持っているのだそうです。

一方、先ほど出てきた「フライボール革命」は単にフライを打ち上げることを良しとしているわけではありません。膨大な打球結果を分析したところ、長打を打つために有効なスイングスピードやバットに当てる角度というものがある程度わかってきました(本書では「バレルゾーン」として紹介されています)。そこを狙っていくのがフライボール革命の本質的なところです。ちなみに、日本ではゴロを打つことや流し打ちがもてはやされていますが、著者はそれを否定的に捉えています。

そういったことが知れ渡ってかどうかはわかりませんが、現在開催中の高校野球でも、ランナーが出たら判をついたようにバントで送るというチームは減っているように思います。金属バットの特性を活かして、フルスイングをする選手が増えたり、強打者を1~2番に置くチームが多くなりました。むしろ、日本のプロ野球の一部のチームの方が旧態依然とした野球をしているような気すらしてきます(「一部」と書いたのは、DeNA日本ハムなど、データを活かした守備体系であったり、ショートスターターなどを導入しているチームもあるからです)。

僕はなんでもメジャー流が正しいとは思っていません。しかし、チームが低迷しているときなど、思い切った戦術をとるときの一つの参考にしてみる価値はあるのではないのかなぁと思っています。本書の後半では戦術面や球団経営などについて語られているようなので、今から楽しみです!