読書記録 for me

読んだ本のまとめなどを書いていきます。

「地域再生の戦略」(宇都宮浄人著)

おはようございます。

仕事の忙しさや体調不良が重なり、なかなか記事を書けずにいました。申し訳ありません…。

今日は、宇都宮浄人さんによる「地域再生の戦略」という本についてです。

 

地域再生の戦略: 「交通まちづくり」というアプローチ (ちくま新書)
 

 サブタイトルに「交通まちづくり」とありますように、現在、深刻な問題となっている地域再生について、交通という切り口からその改善策を探る内容となっています。ただ、結論から言うと、具体的に「こうすればよい」というものが提示されているわけではありませんでした。先進事例の紹介と、国が示す方向性の解説にとどまっている印象でした。

 

さて、地方鉄道やバス会社の廃業が相次いでいます。それはすなわち、クルマに依存する比率が高くなることを意味します。免許証返納の問題に象徴されるように、特に高齢者などは、外出に困難を伴うことが大きな課題となっています。

実際、僕の住む市でも、市が運営している福祉バスが廃止になるのではないかという噂が広まっています。噂を聞いた住民さんからは「有料になってもいいから、運行を続けてほしい」とか、「そんなことをするのなら、税金を払うのをボイコットしようか」など、切実な声が聴こえてきます。福祉バス廃止の是非を検討する人たちに、その声がどれだけ届いているのが疑問ですが、この本を読んでいると、「ただ有料にすればよい」というような簡単な問題ではないことがわかります。行政の厳しい財政状況、既存の公共交通事業者との棲み分け、環境への配慮、その他諸々の条件を踏まえて、最適解を見つけなければなりません。仮に福祉バス廃止の方向に決まるとしても、何かしらの代替手段を提示するとかしなければならないのではないかと思います。

先日、ある自治会の人がこの状況に危機感を覚え、「自分たちの地域で住民が主体となって移動支援の活動を始めたい!」と相談に来られました。その熱量たるや、半端ではありませんでした。行政は「たぶん誰かが何とかしてくれるだろう」という考えでいるわけでは決してないと思います。しかし、そうやって危機感を覚える人が存在するということは認識していてほしいところです。僕は、生活支援コーディネーターとして、できる限りのお手伝いをしていく所存です。

 

本書の中に、海外の事例を説明するところで、「交通権」「移動権」といった言葉が出てきます。これは非常に重要なことだと思いました。それは、単に「移動する」というところにとどまらない権利だからです。例えば、先ほど高齢者の外出の困難さの話を出しましたが、高齢者が外出の機会を失えば、身体機能の低下のリスクが高まります。また、人との交流の機会も減ることにつながるため、生活の豊かさにも影響が出てくることが考えられます。他にも、交通が人々の暮らしに与える影響にはさまざまなものがあるでしょう。

スケールの大きな話であるため、単独の市町村だけでは解決が難しい場合がほとんどでしょう。こういったときにこそ、上部の行政主体、つまり、国や都道府県が積極的に介入し、地域の課題をともに解決していく姿勢が必要なのではないでしょうか。僕自身も、高齢者がいきいきと暮らせる地域づくりを考えていく上で、注視しておかなければならないテーマです。

今回は、途中から仕事の話になってしまいましたね(笑)