読書記録 for me

読んだ本のまとめなどを書いていきます。

「高齢ドライバー」(所正文・小長谷陽子・伊藤安海著)

こんにちは。

今日は「高齢ドライバー」という本についてです。

 

高齢ドライバー (文春新書)

高齢ドライバー (文春新書)

 

 僕は高齢者の総合相談窓口である地域包括支援センターで勤めていますが、同僚が関わっているケースでも、認知機能の低下がみられるにも関わらず、運転を続けている高齢者に関するものが増えているような気がします。そして、こういった事例で困っているのは、高齢者本人だけでなく、その家族も含まれています。また、最近ではニュースでもたくさん取り上げられていますよね。

高齢者が住みやすい地域をつくっていく仕事をしている僕にも当然大いに関係する内容ですので、本書を読んでみました。

最近では免許証の自主返納を推奨する動きが全国でも活発になっていますが、そこで見逃してはならないのは、高齢者にとって「自動車を運転する」ということがただの「移動手段の確保」だけにとどまらないということです。本文中にも出てきますが、ドライブや遠出が趣味の高齢者にとっては、運転ができなくなることは生きがいの喪失につながりますし、家族の中で果たす役割のひとつが運転という人もいます(例:孫の送り迎え)。また、山間部では車がないと買い物や通院にも一苦労…というところも多くみられます。

そのため、ただ免許証の自主返納を勧めるだけでなく、そこには免許証を返納する高齢者への心理的・社会的なケアが必要ではないかとしています。取り組みの例として、熊本県で運転免許センターにベテランの女性看護師を配置するようになり、他の地域にも広がっているということです。

ただ、心理的なケアをするにしても、高齢者自身が住む地域に、運転できなくなる事実を補えるだけの社会資源がないと、ケアの意味がなくなります。

ちなみに、僕が担当する地区はJRも私鉄も走っていますが、山手の地域が多く、しかも最近になって路線バスが減便になるという動きがありました。いわゆる「買い物難民」問題にも直面している現状です。

テクノロジーの進化で、車の自動運転技術も急速に発達していますが、運用にはまだまだ時間がかかるでしょう。でも、発達の速度と同じか、もしくはそれ以上のスピードで高齢者は増えていきます。そして、認知症高齢者も急増していくことが予測されています。僕ひとりの力で解決できる問題では決してありませんので、福祉の分野だけでなく、医療や交通行政とも連携して、対策を考えていかなければなりません。

道路交通法が改正され、高齢者を取り巻く交通事情は大きく変化している最中にあります。この記事ではあまり触れませんでしたが、本書では高齢者ドライバーが起こす事故の特徴やその背景要因などについて、データをもとに語られています。いろいろな要素が複雑に絡み合う問題です。身近に高齢者がいない人というのは存在しないと思いますので、社会問題のひとつとして理解しておくために、読んでみてもよいかもしれません。